旭養鶏舎に奨励賞 6次産業化アワード

6次産業化に取り組む先進的な事例を称える平成29年度「6次産業化アワード」(主催・6次産業化推進協議会)の表彰式が3月1日、東京都港区のアジュール竹芝で開かれ、養鶏関係では鶏卵の販売や加工品の開発に積極的に取り組む㈲旭養鶏舎(竹下靖洋社長―本社・島根県大田市波根町221-1)が『奨励賞・経営戦略賞』を受賞した。
「6次産業化アワード」は、農林水産省の補助事業、平成29年度6次産業化ネットワーク活動全国推進事業の一環で、農林水産祭の参加事業。29年度は全国から過去最多の86事例の応募があり、一次審査を通過した15事例の中から農林水産大臣賞1点、食料産業局長賞3点、奨励賞11点が選ばれた。
奨励賞・経営戦略賞を受賞した旭養鶏舎は、飼料に木酢酸混合飼料の「ネッカリッチ」と海藻を与えたブランド卵『ネッカエッグ』を中心に生産しているが、新たにアレルギーを抑える効果が期待されるエゴマ種子を飼料に添加した『えごま玉子』を開発した。農場内に直売店を併設した鶏卵加工場を建設し、『ネッカエッグ』を使った「無添加プリン」「茶碗むし」「玉子とうふ」などの加工品の比率を上げることで経営の多角化、高度化に取り組んでいる。新商品の開発には女性の意見を参考にし、小分けにするなど、消費者の利便性を考慮している。
竹下靖洋社長は「ほかの受賞者の皆さんも様々な工夫をされている。これからは開発した商品をいかに販売していくかがカギになると思う」と話していた。
表彰式では、主催者を代表して㈱共同通信社の福井順一常務取締役が「草の根の試みに我々も着目し、啓発・普及して、地域でのネットワークづくりを事業や報道を通じて後押ししていく意義を改めて強く感じた」とあいさつした。
来賓として出席した野中厚農林水産大臣政務官は「私の周りでも6次産業化に関心のある方が年々増えてきたが、どのような手法で、どのような人と連携をとり、どのようなマーケットに挑戦していくかといった詳細の部分になると二の足を踏む方々が多い。このように事例が積み上がっていくことで、6次産業化に挑戦される方々が増え、その道しるべに皆様方がなることを期待している」と述べた。
6次産業化推進協議会の堀口健治座長(早稲田大学政治経済学術員名誉教授)は「一次審査を通過した15事例は、どれもアワードに値するもので落とす理由がないという結論になったが、審査には時間がかかり、大変であった。旭養鶏舎は飼料に工夫して差別化を図り、鶏卵だけでなく加工品の比率も高めながら、直売店も経営していることなどが評価された」などと講評した。このほかの受賞者は次の通り。
【農林水産大臣賞】㈱あいあいファーム(沖縄県)
【食料産業局長賞】㈱やまがたさくらんぼファーム(山形県)、㈲高儀農場(新潟県)、㈲わくわく手づくりファーム川北(石川県)
【奨励賞】㈱NIKIHillsヴィレッジ(グローカルチャレンジ賞、北海道)、とちぎ農業ネットワーク企業組合(広域ネットワーク賞、栃木県)、㈲貫井園(女性活躍賞、埼玉県)、㈱オオノ農園(地域連携賞、千葉県)、㈲ティーエム(地域資源活用賞、長野県)、㈱はるやま農場(地域発展貢献賞、静岡県)、社会福祉法人E.G.F(農福連携賞、山口県)、㈱アクアグローバルフーズ(水産事業拡大賞、福岡県)、㈲永渕ファームリンク(次世代の担い手賞、佐賀県)、㈲大分の空634(資源活用アイデア賞、大分県)

【奨励賞を受賞した旭養鶏舎の『えごま玉子』と『無添加プリン』(上)、6次産業化アワードで表彰された受賞者(下)】

コメントを残す