イセ食品と東大が共同研究 次世代養鶏技術の開発へ

イセ食品㈱(伊勢彦信会長―東京本部・東京都千代田区有楽町2-10-1)は、このほど東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場(牧場長=桑原正貴同大学獣医衛生学研究室教授、茨城県笠間市)と、採卵鶏の生産性と鶏卵の品質向上を目指し、次世代養鶏技術の開発に関する共同研究契約を締結した。
共同研究は3年間で、今年5月頃までにイセ食品が飼養形態の異なる試験鶏舎1棟(通常試験区エリア、エンリッチドケージエリア、エイビアリーシステムエリア、学生実習用エリア)を附属牧場に建設し、採卵鶏と飼料を無償提供する。東大は①飼育環境によるストレス、卵の安全性や成分に及ぼす影響の評価②アスリートや妊婦など、特定の栄養成分の摂取を必要とする人向けの特殊卵の開発③飼料と鶏ふん臭気の解明と、臭気低減の新たな飼料サプリメントの開発――などに取り組む。
2月15日にイセ食品東京本部で伊勢会長、佐藤七夫社長、島崎弘幸イセたまご研究所長や桑原教授が出席して会見。伊勢会長は、昨年10月にベトナムのハノイでアジア13か国から約240人が参加してたまごサミットを開催したことや、自動車メーカーのスズキと提携してインドで鶏卵事業に乗り出したことなどを紹介し、「東京大学との共同研究の成果を、日本、アセアン、インドの鶏卵事業の発展に役立てていきたい」と述べた。
佐藤社長は「イセ食品は、種鶏から卵の販売まで一貫した独自のインテグレーションシステムで安全・安心の卵を生産し、国内で1500万羽、さらに米国、アセアン、インドでも生産を行なっている。東大との共同研究によって、さらに安全・安心な卵作りを高め、さらなる情報発信をしていきたい」とした。
桑原教授は「附属牧場には鶏舎もなく、これまでは鶏に触れることができなかったが、新しい施設を獣医学研究と教育に役立てていきたい」と述べた。さらに自由行動下の動物から小型計測器によって取得した心電図記録を心拍変動解析と呼ばれる手法で解析し、自律神経活動やストレスを評価した研究で豊富な実績を持っていることから、鶏のストレスの飼養形態による変化についても「鶏には初めてであるが、基礎データがあり、鶏は生産性に合わせて開発(改良)されてきている中で、通常の飼養形態が本当に悪いのかなど、動物の健康と安全な生産の面からも研究が進められるのでは」と期待した。

【会見する(右から)伊勢彦信会長、佐藤七夫社長、桑原正貴教授、島崎弘幸所長】

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