全農の夏場対策飼料 暑熱ストレス軽減に『フェスタ』、卵殻質強化には『エスク』

全農(東京都千代田区大手町1-3-1)は、採卵鶏とブロイラーの夏の暑熱ストレスを軽減して飼料摂取を促進し、生産成績を改善する夏場対策飼料『フェスタ』を昨年6月から発売している。
採卵鶏やブロイラーでは、夏季に気温が急上昇すると「急性暑熱ストレス」によって体内で『呼吸性アルカローシス』や『活性酸素の増加』などが起き、生産成績が悪化する。『呼吸性アルカローシス』は重曹を与えることで改善できるが、『活性酸素の増加』に対しては、有効な対策はあまりなかった。
全農飼料畜産中央研究所(茨城県つくば市)で調査したところ、鶏の体内で活性酸素が増えると、それに続いて暑熱ストレスの大きさを測る物差しとなる肝臓の過酸化脂質や、活性酸素を分解する酵素のSODが増えるが、抗酸化物質を与えると、これらの物質が大幅に減少することが分かった。
このため、ウコンのポリフェノール(クルクミン)とブドウのポリフェノールに加え、脂溶性や水溶性のビタミンなど様々な抗酸化物質をバランスよく組み合わせて開発したのが、鶏の体内の活性酵素を減らす働きをする全農の夏場対策飼料『フェスタ』。
『フェスタ』は採卵鶏、ブロイラー、種鶏のいずれにも利用でき、採卵鶏では卵重と飼料摂取量が増え、ブロイラーでは育成率や出荷体重、飼料要求率が改善される傾向が確認されている。
全農では、昨年7月1日の成鶏導入と同時に『フェスタ』を通常の配合飼料に0.1%添加して実際に使用した西日本の成鶏農場の野外成績を、給与しない鶏群と比較して紹介している。
図1は飼料摂取量で、網掛けの部分の約1か月間は、鶏舎内の温度が上がり、最低でも25度C、最高で30度C前後となった期間である。『フェスタ』添加区では、飼料摂取量が向上し、涼しくなってからもしばらくはその差が維持されているのが分かる。
図2は産卵率の差で、ピーク産卵率や持続性が改善されているのが分かり、『フェスタ』の効果が確認されたといえる。この農場では、卵重や生存率では特に差はなかったとのこと。
『フェスタ』は、暑くなる少し前からの給与でも効果が得られるため、給与開始時期を見極めることができれば、添加コストを最小限に抑えることができる。
全農は、採卵鶏や種鶏の卵殻強化飼料として、数年前から『エスク』も発売し、全国で利用が広がっている。『エスク』は、鶏の体内でのカルシウム運搬を助ける明確な仕組みが確認され、卵殻が弱くなってから使用しても、鶏が食べ始めてから約2週間で効果が得られるとのこと。
夏場は、飼料摂取量の低下により卵殻質が悪化するため、『エスク』を使用する生産者も多く、夏場対策として『フェスタ』と『エスク』を併用する生産者も多いが、全農では、添加コストを抑えるなら、特に卵殻を強化したい場合は『エスク』、飼料摂取量や卵重も含めた夏場の成績低下を緩和し、秋口以降の速やかな回復を目指すには『フェスタ』、といった使い分けをするのが良いのではないかとしている。
全農では『フェスタ』や『エスク』は、農場で添加するだけでなく、あらかじめ各地のくみあい配合飼料工場で混ぜる方法もあるため、JAグループの農協、経済連、くみあい飼料、㈱科学飼料研究所の営業担当者に相談してほしいとしている。

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