夏場の卵殻質低下対策 カキ殻の丸栄が提案 吸収率の高いカキ殻でカルシウム不足補う!

気象庁のエルニーニョ監視速報(5月12日)によると、「2014年に発生したエルニーニヨ現象は今春に終息し、夏にはラニーニャ現象が発生する可能性が高い」としている。
エルニーニョ現象は太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高い状態が1年程度続く現象で、ラニーニャは逆に海面水温が低い状態が続く現象。いずれの現象でも、日本を含む世界中で異常な天候が起こると考えられている。
ラニーニャ現象は2010年夏にも発生し、日本では異例の猛暑となった。気象庁は「今年の規模は分からない」としているが、関東甲信以西で高温、北海道から九州にかけて多雨が予想される。
カキ殻飼料の丸栄㈱(立木陽子社長―広島市中区十日市町1-4-31)は、特に夏季の産卵鶏は、ヒートストレスからエサの食下量が少なくなるため、『大丈夫ですか?エサの夏対策!!』のパンフレットを作成し、夏季の破卵、軟卵対策としてカキ殻の飼料添加を提案している。
正常な卵を1日1個産むために産卵鶏は、1日に卵(卵殻形成)へ2.4グラム、骨髄骨へ1.9グラムの計4.3グラム以上のカルシウムが必要とされる。
暑さで飼料摂取量が20%減少すると、カルシウムの摂取量も確実に20%減少する。例えば、1日4.2~5グラムのカルシウムを摂取していた鶏なら、3.3~4グラムの摂取量に落ちてしまう。鶏は、不足分はとりあえずは骨髄骨から補充しようとするが、骨髄骨からも補えなくなると、卵が産めなくなったり、卵殻質が低下し破卵や軟卵の原因ともなる。従って、正常な卵を産ませるには、常に一定のカルシウム量を与えることが大事になる。
夏季の卵殻質低下の原因は、カルシウム摂取量の減少だけではない。鶏は、暑い夏場などには放熱のため呼吸数を増やすが、この呼吸数の増加から血液中のCO2過剰放出され、卵殻表面への炭酸カルシウム量が減少することも要因とされている。
また、鶏群のどの鶏も均一に同じ量の飼料を摂取しているわけではない。例えば、産卵率70%の鶏群の半数は、依然として90%以上の高産卵をしていることがあるため、それぞれの鶏の養分要求量に見合う飼料、あるいはそれ以上の養分を含有した飼料を与え、1日4.3グラム以上のカルシウムが必ず摂取できるように調節することが望ましい。
丸栄では、『鶏は不足しているカルシウムを補おうと一生懸命カキ殻を食べる。食下量が下がる夏場こそ吸収率の高いカキ殻飼料を、普段より多めに与え、元気な鶏、元気な卵で、夏を元気に乗り越えましょう!』と提案している。夏季のカキ殻飼料の必要性を解説した内容は次の通り。

夏季は卵殻強度が衰える。その要因は、産卵鶏の飼料摂取量の減少に伴い、カルシウムの摂取量も減少し、血液中のカルシウム濃度が低下するため。
また、鶏は汗腺がなく、鶏舎内温度が32度C以上になると、体温上昇を阻止する手段としてあえぎ呼吸(パンティング)を行なう。この場合、呼吸数の増加から、卵殻形成に必要な炭酸ガスの排出量を増え、重炭酸塩の尿中排出による損失を招き、結果として卵殻が薄くなると言われている。
飼料摂取量は減少するが、飲水量は増加することも卵殻強度低下の要因の一つで、夏季は様々な要因によって、破卵、軟卵の発生量が増加する。
丸栄のカキ殻飼料を夏季対策として薦めるポイントは次の3つ。
①滞留時間が長い
卵の子宮内滞在時間は約20時間で、形成された殻の94%は結晶状のカルシウムから成っているため、殻の形成される約20時間は血液中のカルシウムを必要とする。従って、カキ殻のように粒径が大きく、鶏のそのうや筋胃での滞留時間が長いカルシウム補給が必要となってくる。
丸栄の生産するカキ殻は、2~4ミリ、4~7ミリ、7~11ミリなど、多様な粒径を取り揃えており、卵殻の形成が始まる夜から朝にかけてのカルシウムが補給でき、夏場対策としての利用に適している。
②吸収率が高い
鶏は、筋胃から腸管へ飼料を移動させるが、腸管に留まる時間は非常に短く、当然、吸収する時間も短くなるため、短時間で吸収できるカルシウムが必要となる。
カキ殻は、カルシウムとして非常に吸収率が高いとされる。それは、牡蠣(かき)の成長時間と関係している。牡蠣の幼生は、1日に150~200リットルの海水を循環しながら、速いスピードで殻を形成するため、多孔質という小さな隙間を形成する。このカキ殻の多孔質構造は、表面積が大きいため、酸に対する反応が良く、溶解がスムーズで、吸収されやすいという特徴がある。
③嗜好性が高い
鶏はカキ殻のような粒径のものを好んで食べる。
カキ殻の一般的利用法は、配合飼料に最初から配合されている場合と、農場で配合飼料に添加される場合があるが、主に後者での利用が多い。この場合、配合飼料に1%から2%の上乗せ添加が必要(注…各農場や飼料内容によって、添加量の調整が必要)であるが、カキ殻を添加しても、飼料摂取量の減少はほとんどないと言われる。
このことから、配合飼料を薄めることなく、卵殻対策ができる。

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