食料・農業・農村基本計画 自給率は鶏卵96%、鶏肉70% 平成37年度生産努力目標は鶏卵241万トン、鶏肉146万トン

農林水産省の食料・農業・農村政策審議会は3月24日、平成37年度(2025年度)を目標とする新たな「食料・農業・農村基本計画」を林芳正農林巣資産大臣に答申。31日の閣議で決定した。この中で鶏卵の自給率は、現行目標と同じ96%、鶏肉は現行目標の73%から70%に引き下げた。

平成22年3月に閣議決定した現基本計画(32年度目標)では、食料自給率についてカロリーベースで50%、生産額ベースで70%と設定したが、計画の策定以降、生産額ベースでは70%近い水準であるものの、カロリーベースでは約40%で推移しており、目標が現状から離れている。
このため、農林水産省は新基本計画での目標設定にあたり、現基本計画の検証結果や、目標が食料消費の見通しや消費者ニーズを踏まえた国内生産の指針としての役割を持つことを踏まえ、計画期間内での実現可能性を考慮する必要があると判断。食料自給率向上に向けて重点的に取り組むべき事項について、①食料生産(国内外での国産農産物の需要拡大、食育の推進、食品に対する消費者の信頼確保)②農業生産(優良農地の確保と担い手への農地集積・集約化、担い手の育成・確保、農業の技術革新や食品産業事業者との連携等による生産・供給体制の構築等の実現)――と明確化した。
そのうえで、今後の少子高齢化の進展に伴う摂取熱量の減少を踏まえ、新基本計画では37年度目標の食料自給率を、カロリーベースでは45%(1人・1日当たり国産供給熱量1040キロカロリー/1人1日当たり総供給熱量2313キロカロリー)に引き下げる一方で、生産額ベースでは付加価値の高い農産物の増産などで73%(国内生産額10兆4422億円/国内消費仕向額14兆3953億円)に引き上げた。
飼料自給率については、現行目標の38%から、飼料用米の増産などで40%(純国内産飼料生産量889万TDNトン/飼料需要量2243万TDNトン)に引き上げた。
鶏卵の自給率は、現行目標と同水準の96%(飼料自給率考慮では18%から19%に引き上げ)、鶏肉は現行目標の73%(同14%)から70%(同14%)に引き下げた。
平成37年度における食料消費の見通しと生産努力目標では、飼料用米は国内消費仕向量と生産努力目標はともに110万トン。鶏卵は1人・1年当たり消費量17キログラム、国内消費仕向量251万トン、生産努力目標241万トン。鶏肉は1人・1年当たり消費量12キログラム、国内消費仕向量208万トン、生産努力目標146万トンと設定した。
克服すべき課題としては、飼料用米では「実需者ニーズに応じた安定生産と畜産経営における利用拡大」「多収性専用品種の導入や地域条件に応じた栽培技術の確立等を通じた収量向上」「農地の集積・集約化、新技術等の開発・導入、飼料原料用としての生産管理手法の導入、資材費の低減等による生産コストの低減」「飼料原料用としての供給・利用体制の整備による流通コストの低減」。
鶏卵では「産卵能力の向上等や、特色のある鶏卵生産を通じた国産鶏卵の需要拡大」「需給動向に対応した計画的な生産の実施」「採卵鶏経営の収益性の向上と生産基盤の強化」。
鶏肉では「地鶏等についての増体性、繁殖性の向上等に加え、特色のある鶏肉生産や加工・業務用利用の拡大による国産鶏に区の需要拡大」「肉用鶏経営の収益性の向上を通じた生産基盤の強化」を挙げている。
今回の新基本計画では、わが国の農林水産業が有する潜在生産能力をフルに活用することにより得られる食料の供給熱量を示す指標として、「食料自給力指標」を創設した。作付けする作物や栄養バランスに応じて4パターンで試算する。25年度の試算値では、主要穀物(米、小麦、大豆)を中心に作付けした場合の2パターンで、1人・1日当たり推定エネルギー必要量の2147キロカロリーに届かなかった。食料自給力指標は定期的に検証するため、食料自給率の実績値と併せて毎年、直近年度の値を公表する。

改良目標も答申

食料・農業・農村政策審議会の畜産部会は3月25日、酪農および肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、家畜改良増殖目標、鶏の改良増殖目標、養豚農業の振興に関する基本方針、家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針を答申した。

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