最新!  「畜産クラスター」でオフラインGP新設 ホソヤ家禽研究所(特集-2017.04.06)

 ホーム    トップ記事    ニュース    新製品    特集    統計    リンク   鶏卵相場(全農)   おくやみ   イベント情報 

2017年05月27日(土) 記事検索    過去の記事一覧
 メニュー
 ホーム
 トップ記事
 ニュース
 新製品
 特集
 統計
 リンク

 マーケット
 鶏卵相場(全農)

 コミュニティー
 おくやみ
 イベント情報


新聞購読の申し込み


わが国の殻付卵のSE汚染度 約3万個に1個の汚染率に低下 (財)畜産生物化学安全研究所参与・中村政幸

2012.12.05発行
 (財)畜産生物科学安全研究所の中村政幸参与は、わが国の殻付市販卵のサルモネラ・エンテリティディス(SE)汚染頻度を明らかにするために、食品安全委員会の技術研究に応募し、卵の汚染率は業界の努力もあって約3万個に1個の割合に減少しているとの成果を得た。なお、本成績は英国ケンブリッジ大学が刊行している「Epidemioligy and Infection」誌の電子版に2012年6月16日に掲載された。

 サルモネラ・エンテリティディス(SE)汚染による食中毒の発生は世界的な現象であり、欧米では1980年代前半年頃、日本では1989年頃から急増した。以降、世界各国で種々の対策が実施されたため、ある程度SE食中毒は減少したが、依然として世界中で猛威を振るっており、特に微生物による食中毒ではあまり起こらない死亡例も依然として多発している。最近では、英国やカナダ、米国での発生が報告されている。
 SEによる食中毒の主要な原因はSE汚染鶏卵である。その鶏卵のSE汚染率は、米国では1992〜1994年に約70万個の殻付卵を調べて0.0275%、1994〜1996年に約8万個を調べて0.0228%と発表され、2000年には推計で2万個に1個、0.005%と発表されている。
 わが国では2004年の調査で、10個の卵内容を1プールとして9010プール中、SEは2プールから検出された。この調査ではプール検体の92%がサルモネラ陽性農場由来であった。さらに2007〜2007年に2万300個の市販鶏卵について、卵殻と卵内容別にそれぞれ10個分をプールして1検体とする用法で実施し、卵内容からはサルモネラは検出されなかったものの、5つの卵殻検体からサルモネラが分離され、そのうち2検体はSEであったという調査結果を農林水産省が報告している。
 そこでこのような状況下で、年間約10万個の殻付卵を収集・検査する方法を構築し、大規模調査を実施することで、わが国の殻付卵のSE汚染頻度を明らかにすることを考え、当時私も専門委員を務めていた内閣府食品安全委員会の技術研究に応募し、採択された。以下はその成果である。
 全国15地域を調査対象として、平成22年6月から平成23年1月にかけて合計12回にわたって市販鶏卵を購入し、SE検査に供した。1回の採材は1地域当たり直売場を含めた量販店4〜5か所において、1か所で3〜5銘柄分を、1銘柄当たり40個分とし、合計で600個を収集した。
 基本的に、鶏卵の収集は1か月当たり1回、合計12回実施し(9〜12月は月に2回収集)、各地域で収集した鶏卵は(財)畜産生物科学安全研究所(安全研)に常温で送付した。SE汚染の季節的な変動やSE汚染後の状況などを把握できるように、各地域で収集する鶏卵は可能な限り同じ銘柄を毎回購入するようにした。鶏卵の培養は安全研で実施した。
 同一銘柄の卵20個をプールして1検体とし、5400検体(鶏卵として10万5033個)を検査した結果、3検体からSEが検出された。通常、SEの汚染頻度がこれまで3000〜2万個に1個程度と非常に低い頻度であることを考えれば、プールされた20個中1個がSEに汚染されていると考えて差し支えないであろう。
 以上より、わが国においてSEに汚染された市販鶏卵の割合(SE汚染率)は0.0029%程度、すなわち3万個に1個程度と考えられた。なお、SE汚染が認められた検体の選別・包装、流通に関与したGPセンターは、単一の銘柄卵を供給するGPセンターに限られていた。今回の調査は卵内におけるSE汚染(インエッグSE汚染)のみを調査したものであることから、今回検出された汚染はGPセンターでの汚染というより、生産農場におけるインエッグSE汚染を反映している可能性が高いものと思われる。
 聞くところによると、業界の一部では未だに3000個に1個のSE汚染率が生きているらしい。今回の調査で約3万個に1個の汚染率と考えて差し支えないため、この成績を広く普及させる必要がある。
 なお、わが国においてこのように汚染率を減少できた背景には、20年にも及ぶ業界の努力、行政の働きかけ、消費者の意識の向上などがあり、それらの努力が結集した賜と思っている。SE汚染鶏卵による食中毒が世界的に大発生し、WHOが1989年3月にジュネーブで開催したサルモネラ対策緊急会議に出席して以来、SE対策に従事してきた筆者としては、このような調査ができ、その成果を公表できたことに、ある種の達成感を感じている。
 ここで重要なのは、食中毒では死者が出ればマスコミが大騒ぎし、その影響は非常に大きいということ。私が専門委員を務めていた医薬食品衛生審議会食品衛生調査会は、腸管出血性大腸菌O157による死者が平成23年に5人に達したため、その対応を審議し、平成24年7月1日から牛レバーを生食用として販売することを禁止した。牛レバー1個が数万円で取引され、年間120万頭分で数百億円の売り上げが業界から一瞬にして消滅したことを考えると、サルモネラ汚染鶏卵による死者は絶対に出すべきではない。業界におかれてもさらなる努力を願う。



ご質問、ご意見、相互リンク、広告の掲載等につきましては、info@keimei.ne.jpまで。
本社:〒104-0033 東京都中央区新川2-6-16
TEL 03(3297)5556  FAX 03(3297)5558
掲載のデータ文章の著作権は鶏鳴新聞社に属します。