「成鶏更新・空舎延長事業」発動 60日以上の空舎期間に奨励金

鶏卵相場は5月の連休明け後に下落し、21日には東京、大阪のM加重は160円となった。(社)日本養鶏協会が公表した21日の標準取引価格(JA全農たまご(株)の東京と大阪の規格卵の加重平均価格)も、鶏卵生産者経営安定対策事業の成鶏更新・空舎延長事業の安定基準価格158円を下回る154円となり、平成23年度から始まった同事業が初めて発動された。
同事業は、鶏卵価格差補てん事業に加入する生産者が、事業発動期間中に鶏舎ごと(同一建物でも、壁や金網、カーテンなどで明確に区分され、鶏の出荷後に水洗などの清掃が独立して行なえるものは1鶏舎と認める)に成鶏を食鳥処理場に出荷し、その後60日以上の空舎期間を設け、成鶏の出荷後90日以内に、ふ化場や育すう業者から、事業対象鶏舎ごとに処理された4割以上のひなを再導入した段階で、その加入生産者と成鶏を処理した食鳥処理場に規定の奨励金を交付するもの。
参加する生産者は、成鶏出荷完了後30日以内に必要な書類を日本養鶏協会に提出するとともに、60日以上の空舎期間を設けて、ひなを再導入したことなどを証明する事業実施報告書(成鶏出荷時や、ひな導入時の写真など)を提出する必要がある。
奨励金の対象期間は、日本養鶏協会が毎日公表する標準取引価格が、安定基準価格を下回る日の30日前(今回の場合は4月21日以降)から、標準価格が安定基準価格を上回る前日まで。
奨励金は、大規模生産者(保有鶏舎の収容可能羽数の合計が10万羽以上)には成鶏1羽150円以内、中小規模生産者(同10万羽未満)には同200円以内、同事業の成鶏を処理した食鳥処理場には同17.4円。
成鶏更新・空舎延長事業が発動されても、その月の月間標準取引価格が補てん基準価格を下回った場合は、価格差補てんが行なわれる。ただ、成鶏更新・空舎延長事業に参加している生産者の補てん金は、空舎延長事業に参加した期間の鶏卵生産量が減少するため、一定の算式によって得られた額を減額して支払われることになる。

5~7月の成鶏出荷は少なめ成鶏処理流通協

日本成鶏処理流通協議会がまとめた今年1月以降の成鶏の処理羽数は、1月、2月は前年同月比で5%近く増えたが、3月は同8%減少した。
会員からの集鳥(農家からの出荷)と製品販売状況の聞き取り調査によると、全国的に5月、6月、7月とも出荷羽数は「適量」ないし「やや少ない」とするところが多い。
空舎延長事業の発動によって、ひな導入が遅れ、鶏卵の需給が引き締まってくるのは6月以降とみられる。また、繰り上げ淘汰があるかどうかによって、夏場から秋口にかけての鶏卵需給が変化するため、事業への参加動向が注目される。

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