中嶋製作所が創業90周年 日本赤十字社と栄村、長野市に4200万円寄付

信頼の『ナカマチック』ブランドで知られる養鶏・畜産設備メーカーの(株)中嶋製作所(中嶋君忠社長―本社・長野県長野市篠ノ井会33)は、今年8月で創業90周年を迎えた。
同社では、1年前から地元や取引先への感謝を込めた90周年の祝賀会を準備していたが、今年3月11日の東日本大震災と津波、原発事故で、多くの養鶏・畜産関係者が被災したことに加え、翌3月12日には長野県栄村でも震度6強の地震が発生して従業員の一部も被災したため、祝い事をすべてとりやめ、日本赤十字社と栄村に計3200万円の義捐金を贈るとともに、90周年を記念して地元、長野市篠ノ井の恐竜公園の緑化のための苗木代として1000万円を寄贈した。
同社は、現社長の父、中嶋一雄氏(故人)が大正10年8月に独立開業し、強い信念と、研究熱心な仕事ぶりから事業を拡大。特に、昭和3年に発売した養鶏用育雛器『キングヒーター』は、全国に普及し、今日の基礎を築いた。戦後間もなく養鶏器具の製造を再開し、全購連と提携して採卵用ケージの製造などを行なった。
昭和40年12月に、25歳の若さで社長を引き継いだ中嶋君忠現社長は、ブロイラー産業の発展をいち早く見抜き、スクリュウオーガーで自動的に皿に餌を送る『ナカマチックパンフィーダー』を開発し、その利用はブロイラーだけでなく、種鶏用、養豚用にも広がった。
『信義を重んじ和の心を忘れず天地一切の恩を報じ感謝の念を持ち独特の技術開発に傾注し先手必勝を心掛けること安全と健康に留意し全社員の福祉増進の為各人不屈の信念を持って最高の努力を尽くすこと』の社是の下、現在では、ブロイラー、採卵鶏、養豚用機器システムの3本柱に、肉用牛も加え、絶えず技術の革新を図って最先端の新商品を開発し、いたずらに売り上げを追わない安定経営に徹している。
敷地面積約5000坪の本社工場は、最新の工作設備を導入し、平成10年には国内の畜産設備業界では初めてとなる国際的な品質マネジメントシステムのISO9001認証を取得し、全社的に品質向上に努めている。また屋根に50キロワットの太陽光発電装置を設置し、地球環境の保全に貢献しているほか、全国的に発生している鳥インフルエンザや、昨年、宮崎県で発生した口蹄疫などに対応し、取引先にウイルスなどの病原体を持ち込まないよう、東北、南九州の各営業所を含む全社で、徹底した防疫対策を行なっており、養鶏・畜産関係者からも高く評価されている。また、昨年の口蹄疫では、宮崎県に1000万円、川南町に500万円の義援金を贈呈し、感謝された。
90周年の祝い事は中止したものの、主な取引先には、『90年のあゆみ』の小冊子と、中嶋社長が撮影した縁起の良い『紅富士』、天皇、皇后両陛下が長野パラリンピックに行幸された時に撮影した両陛下の慈愛あふれる表情の写真を最高級の額装をして贈呈したとのこと。

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