AIの防疫指針など見直しへ 飼養衛生管理基準も 農水省・家畜衛生部会

農林水産省は5月25日、家畜衛生部会(近藤康子部会長)を開き、改正された家畜伝染病予防法に基づく施行令と施行規則の改正案を了承した。口蹄疫や鳥インフルエンザなどの防疫指針の変更、飼養衛生管理基準の改正については、小委員会で専門的・技術的な検討を行なうとともに、畜産の実態を現地調査して、7月の部会で審議することにした。

家畜伝染病予防法に基づく施行令と施行規則の改正案では、強毒タイプと弱毒タイプとしていた高病原性鳥インフルエンザ(AI)を、「高病原性鳥インフルエンザ」と「低病原性鳥インフルエンザ」に分割し、対象家畜に鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥を指定した。また、家畜伝染病のニューカッスル病は、強毒型や中毒型の病原性の高いものに対象範囲を限定し、弱毒型の低病原性ニューカッスル病は届出伝染病に指定して、行政による殺処分や移動制限の措置をかけないことにした。
口蹄疫やAIの防疫指針の変更、新たに牛疫、牛肺疫、アフリカ豚コレラの防疫指針を制定すること、飼養衛生管理基準を改正することについては、6月に家きん疾病小委員会と牛豚等疾病小委員会で専門的・技術的に検討し、家畜衛生部会の委員も南九州や関東の畜産現場を現地調査したうえで、7月に開催予定の家畜衛生部会で審議することにした。
家畜衛生部会は20人の委員で構成され、養鶏関係では岩元利典(株)鹿児島くみあいチキンフーズ社長、栗木鋭三(株)クレスト会長、合田光昭愛知県経済連農畜産物衛生研究所技術参与らが委員として参加している。
防疫指針の見直しでは、岩元委員が鳥インフルエンザに関連して、移動制限区域をEU並みの判型3キロメートルにすることや、今年の発生では農場だけでなく、孵化場や処理場も大きな経済的ダメージを受けたため、ウイルスをまん延させない措置が取られたひな(種卵を含む)の移動や、生鳥の出荷も認めるよう求めた。
また栗木委員は「今年のAIの特徴は、野鳥などの感染が多いことで、今初冬に渡り鳥が来るとまた感染の危険がある。防疫指針はこれまでは侵入防止に力点を置いてきたが、感染防止も含めた対策も重要だ。殺処分後の家畜の処理についても、埋却を中心としているが、埋却以外の処理方法を研究してほしい」とした。他の畜種の委員からも、宮崎県で口蹄疫が拡散した一因に、埋却がなかなか進まなかったことがある、として埋却以外の処理方法も検討するよう要請した。
農水省の川島俊郎動物衛生課長は、畜産現場の実情をよく理解したうえで見直していきたいとした。
飼養衛生管理基準については、現場の実態を調査したうえで、より具体的に示すなど、大幅な改正を行うことにしているが、委員からは、基準を決めても守ってもらわなければ何もならないため、どのようにすれば守れるかの事例集を作ったりして、農家の意識を高める努力が重要だとの指摘もあった。
川島課長は、飼養衛生管理基準の適用に際しては、農家に十分説明して守ってもらえるようにしたいとした。

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