外食にも原産地表示 農水省がガイドライン

農林水産省は7月28日、「外食における原産地表示に関するガイドライン」をまとめ、同日付で地方農政局や都道府県、関係団体などに通知した。
ガイドラインは、メニューを選択するうえで参考になる食材の原産地情報を消費者に提供して、外食への信頼を確保するために、今年3月から「外食における原産地表示等の表示に関する検討会」(座長―沖谷明紘日本獣医畜産大学教授)で検討し、まとめたもの。農水省の村上総合食料局長は「世界で初めての試みだと思うし、画期的なこと」などと評価した。
業種・業態や規模の大小にかかわりなく、すべての外食事業者が対象となる。外食産業全体が自主的に取り組む目標として位置付けているため、強制力や違反した場合の罰則規定はない。
原産地を表示するのは(1)メニューの構成を決める主な食材(例=ステーキの牛肉)(2)メニュー名に用いられている食材(例=チキンソテーの鶏肉)(3)品種や栽培方法、産地などにこだわって調達した食材(例=旬のさんま)――で、売れ筋や定番のメニューには、前記の食材以外の原産地も積極的に表示するよう求めている。
表示する原産地の名称は、国産品は「国産」、輸入品は「原産国名」とし、国産品では都道府県名や市町村名、地域名など、輸入品では州名や一般に知られている地名を表示することも可能。同じ食材で原産地が複数ある場合は、重量の割合が多いものから順に表示し、原料調達の都合などで原産地が季節的、一時的に変動する場合は「原産国の次にその旨を表示する」としている。
留意事項では、原産地情報の管理を徹底して、(1)産地が特定できないあいまいな表示(2)複数の原産地の食材を使用するとき、特定の産地のみを強調する表示(3)加工品の原料原産地が不詳であるにもかかわらず、同種の生鮮品の産地表示で誤認を招く表示――など、消費者を誤認させるような表示を行なわないことと、表示の根拠となる仕入れ伝票などの整理に努めて、消費者からの問い合わせに迅速・適正に対応することを求めている。
さらに、原材料に対して消費者に不安を抱かせるような出来事(BSEや残留農薬の検出など)が発生した場合には、風評被害を防止するために「原材料や原産地について誤ったイメージを消費者に与えないよう、特に注意して表示する必要がある」と明記した。
農水省は具体的な表示方法などのQ&Aを8月中にもまとめるほか、外食事業者団体は説明会を開催して、会員へのガイドラインの普及を図る。消費者団体も「普及活動に協力していきたい」としており、外食での原産地表示の推進に向けて、行政と外食事業者、消費者が一体となった取り組みが期待される。

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