32年間続いた計画生産を廃止 羽数枠管理から自主調整へ 鶏卵需給調整協議会

農林水産省は4月16日に開いた全国鶏卵需給調整協議会で、昭和47年度から続いてきた行政主導による羽数枠管理の計画生産を廃止し、16年度からは鶏卵生産ガイドラインに基づき、生産者が主体的判断で自由に生産する新方式へ移行することを決めた。

昨年9月の全国鶏卵需給調整協議会では、これまでの計画生産の検討結果から、中小規模の経営対策強化や、自主的に需給調整に取り組む生産者組織の確立などの条件を整備した上で、羽数枠管理による計画生産から、生産者の主体的な判断に基づく生産へ移行することを決めていた。
16日の協議会では、農林水産省から16年度の予算措置(卵価基金や共同GPセンター補助、高品質鶏卵生産への支援)や、今年1月の日本鶏卵生産者協会の設立などが報告され、条件が整ったとしてこれまでの計画生産の廃止(緊急措置も)を了承。16年度からは鶏卵生産ガイドラインを参考に、生産者が主体的に判断する新生産方式に移行することを決めた。
新しい生産方式は、羽数枠管理などの行政指導の規制が大幅になくなり、農林水産省が示す鶏卵生産ガイドラインを参考に、生産者の自主的判断で自由に生産することになる。国の示すガイドラインを守らなかったからといって、ペナルティが課されることはなく、あくまでも自己責任になる。
規制の内容は、これまでは計画生産に協力していた者のみが卵価基金や飼料基金、補助・融資を利用でき、協力しない者は排除されていた。新方式では公正取引委員会の意見も取り入れ、卵価基金のみが関連づけられた。具体的には鶏卵生産ガイドラインを作成するために、農林水産省が都道府県鶏卵需給調整協議会を通じて実施する年2回(6月と12月)の5万羽以上生産者の実羽数や今後の増減動向調査に協力したかどうかが卵価基金の加入条件になる。飼料基金や補助・融資などは羽数調査への協力やガイドラインを守る云々に関係なく、それぞれの補助・融資条件に基づいて受けることができる。また、卵価基金の加入も、例えば日本鶏卵生産者協会に加入しなければならないなどの条件はなく、基金の加入条件に基づくだけでよい。
こうした自由化の動きに、生産者の中からは「今回のガイドライン作成の羽数調査の回答率が約70%しかない。回答率を高めるために影響があるのは卵価基金だけで大丈夫なのか。正確な羽数がつかめなかったら新方式は根底から崩れてしまうのではないか。需給調整を主体的に担う生産者の団体として日本鶏卵生産者協会ができたが、これでは生産者協会も崩壊してしまうのではないか」などの意見も出された。
異常な超低卵価が続いている中、新生産方式はすぐに効果を期待される厳しいスタートとなった。
農林水産省は、4月1日にさかのぼって、これまでの計画生産の廃止と新方式による通達を行なう。

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