ワクチンの早期使用を 養鶏生産者全国集会 各地の被害実情を訴える

(社)日本養鶏協会(梅原宏保会長)と日本鶏卵生産者協会(同)は3月18日、鳥インフルエンザ緊急対策実現全国生産者集会を東京都内のホテルで開いた。集会には約300人の生産者らが参加し、(1)鳥インフルエンザワクチンの早急な使用承認(2)移動制限区域指定のさらなる弾力的運用(3)鳥インフルエンザ生産者互助基金に対する支援(4)発生被害に対する補償などの実施――などを決議して、農林水産省や自民党に要請した。
あいさつした梅原会長は「95%の自給率と、1人当たり330個の世界一の鶏卵消費量を維持するわが国の養鶏産業は、鳥インフルエンザ問題によって存亡の危機に直面している」とするとともに、早期発見と殺処分のみで対応しようとしている国の方針に対しては「国際機関のOIE、FAO、WHOでさえ、大量殺処分が望ましくない、あるいは不適切な場合には、ワクチンの使用はきわめて有効で、新たな発生の減少と環境中に排出されるウイルス量を減少させ、人への影響も良好である、としている。京都の例でも、25万羽の処分に自衛隊1,000人近い労力で1か月以上かかる。
もし、養鶏密集地帯で発生したら50万羽、100万羽の殺処分になり、そんなことが日本の実態でできるのか。できたとしてもその間に、環境中にウイルスは広まり、感染が拡大することは確実。しかも半径30kmの移動制限区域内の羽数は500万羽以上、鶏卵は毎日250トン以上が滞貨し、その金額は1日5,000万円以上になる。
この実態は、まさにOIEが言っている大量殺処分が好ましくない状態で、ワクチンを使用すべきである。われわれの調査では、すでに米国で極めて友好なワクチンが開発され、米国政府でさえ1億羽以上の備蓄を始めている。科学的根拠のあるワクチンを使用することができず、空から入ってくるウイルスの侵入には無防備、しかも発病したら確たる補償もない中では即、倒産しなければならない」と強く批判した。
その上で「国家防疫としてあくまで殺処分にこだわるなら、生産者が完全に再起できるだけの補償をすべきで、長年にわたって積み上げてきた商権を含めれば、1羽当たり少なくとも2,200円の補償があってしかるべきだろう」と訴えた。

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